佐藤長緒先生が2016年度日本植物細胞分子生物学会奨励賞を受賞されました。
今回の表彰は,「翻訳後就職による新規植物基幹代謝制御機構の解明」を対象としています。佐藤先生の表彰は,植物の成長を左右する重要な情報であるC/Nバランスの実態解明を目指し,特に新規ユビキチンリガーゼATL31に関する研究成果が評価されたものです。佐藤先生は,ATL31のユビキチン化標的として14-3-3を同定し,その安定化を介した栄養応答制御機構を明らかにしました。さらに,ATL31は,植物体のバイオマスや老化の進行が大気CO2と根圏Nのバランスにより制御される際に重要な機能を果たすこと,病原体抵抗性制御にも関与することを証明しました。これら一連の研究により,今まで不明瞭であった高等植物のC/N応答制御機構の中核を担う分子基盤が明らかになり,ユビキチン修飾による特異的タンパク質分解とリン酸化修飾というタンパク質翻訳後修飾の協調的制御が植物独自の栄養環境適応戦略として機能していることの証明が評価されたものです。
佐藤先生,受賞おめでとうございます。