陸宇さんは,「新規C/N栄養バランス制御因子CNI2/ABI1の同定と機能解明」(Identification and functional investigationof new C/N-nutrient balancer CNI2/ABI1 )を対象として,2016年度日本植物細胞分子生物学会学生奨励賞を受賞されました。
陸さんは,「C/N」応答に注目し,そのシグナル伝達を担う分子基盤の解明を目指しました。野生型が著しい生育阻害を受けるような高C/低N培地でも子葉が緑化し生育できるシロイヌナズナcni2-D変異体を単離し,その耐性が,ABI1遺伝子の過剰発現によるものであることを明らかにしました。ABI1は,アブシジン酸(ABA)シグナル伝達系の負の制御因子として機能する脱リン酸化酵素なので,C/N応答制御因子としても重要であることを初めて示しました。さらに,ABI1は,既存のABAおよび糖シグナル伝達系とは異なり,SnRK1を介した新規のシグナル伝達経路によりC/N栄養応答を制御することが示唆されました。このような陸さんの一連の研究は,学生奨励賞に相応しいものと評価されました。
陸さん,受賞おめでとうございます。